ドクターズボイス

DOCTORS VOICE
vol.13
DOCTORS VOICE
井坂 文隆
井坂矯正歯科
院長 井坂 文隆 Isaka Fumitaka
 

診断の大切さ

治療に際しては検査に基づいて診断をして治療方針を決めます。ここであらかじめ治療のゴールを設定し、そのゴールに向けて治療計画書を作成するわけです。

こうした治療方針を決める際の根本となるのが診断であり、治療の善し悪し、患者さんの満足度といったものがこのときの診断にかかってくるわけですから、それだけ慎重にならざるを得ないといえます。私自身、経験を重ねるに従い臆病になっていると感じることがあるくらいで、そういう意味では30代、40代の頃の方が逆に度胸が据わっていたといえるのかもしれません。

ただ、診断に非常に迷うケースというのも少なからずあって、先日も1週間悩んでカウンセリングの当日になっても決まらず、患者さんを目の前にしても決めかねていたということがありました。そのときは患者さんへ正直にお話しましたが、抜歯するかしないか判断が難しいケースでした。抜歯して前歯を引っ込めても平均値からはずれる、抜歯せずに凸凹をほどいて並べれば、アーチは大きくなるので前突するというケースで、どちらにも当てはまらずボーダーで悩む症例というのは確かにあります。
しかし、詳しく調べると歯自体はそんなに出ているわけではなく、抜歯の必要はない場合もあり、ただなんとなくで診断して抜歯してしまっていたら前歯が引っ込み過ぎて患者さんの希望と違った結果になったかもしれません。
矯正治療のシュミレーション
 
最後の最後まで悩んであきらめず、あらゆる可能性を検討して患者さんにはよりベターな治療を提供したいという気持ちは一貫しています。まさに“診断ありき”だと思います。ただ、治療経験がないと正しい診断もできないので診断と治療とは両輪であり、相互に高め合っていくものと考えています。

矯正装置は治療のツール

井坂矯正歯科の受付
 
最近はマウスピース矯正が人気で矯正治療に対する敷居が低くなった感があってそれはよいことだと思うのですが、きれいに並ぶことだけが強調されていることが気になります。いくら歯がきれいに並んでも噛むという機能がおろそかになっていては元も子もないので、噛み合わせの重要性をこれまで以上に説明して理解していただく必要があると痛感します。最悪の場合、きれいに歯は並んだけれども噛み合わないということも危惧されるからです。

経験豊富な矯正の先生の場合はマウスピース矯正でも3回とか4回とかシミュレーションしなおして軌道修正をして最終的なゴールに持っていきます。それでもだめな場合はワイヤー矯正でリカバリーできるという自信がおありだからやっていけるのだと思います。

ですから、診断が重要ということはマウスピース矯正もツールが違うだけで同じだと思います。正しい診断なくして治療をすることは羅針盤なしで航海をするようなもので非常に怖いということがおわかりになると思います。

マウスピース矯正について

井坂矯正歯科の診療室1
 
マウスピース矯正において口腔内スキャナーでデータを送ればあとはメールのやりとりだけで、歯形を送る手間もないということで画期的な方法だと思って注目していました。ほかの先生からもワイヤーでリカバリーできるのだから簡単なケースからやってみればと薦められましたが、リカバリーするくらいだったら最初から今までのやり方でやればよいのではという考えに至ってしまうので、今まではマウスピース矯正を行っていませんでした。

ただ、患者さんのニーズとしてはマウスピース矯正への流れがあって、これからの矯正治療はデジタル化へと加速することは間違いないと思います。精密さ、効率性といったことを考えてもそのメリットは大きく、患者さんにとっても治療の負担軽減などにつながります。そういった意味からも、マウスピース矯正を一つのツールとして捉え、治療メニューに取り入れていくことも検討課題の一つと考えています。

これから治療を希望される方へ

井坂矯正歯科の診療室
 
情熱をもって治療してくださる先生かどうかという点でしょうか。矯正治療は長い期間に及ぶので先生との相性も重要なことの一つになると思います。

カウンセリング時の第一印象のほか、メリットばかりではなくてデメリットについても説明してくれるかどうかも大事だと思います。よいことばかりではなく、リスクについても聞いておくことで、両面から判断して決断することができます。患者さんの方からもわからないことはどんどん聞いて、それに対して真摯に正直に話してくれる先生であれば、信頼できるのではないでしょうか。

クリニックの今後の展開

井坂矯正歯科の院長井坂文隆先生2
 
ここで開業して20年が経ち、そろそろきれいに改装したいと考えています。同時に機器類もリニューアルしシステム的にも刷新していきたいと考えています。しばらく経って来ていただければ、スタイリッシュになった当院を見ていただけるかもしれません。
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