ドクターズボイス

DOCTORS VOICE
vol.15
DOCTORS VOICE
おだいら矯正歯科 院長 小平安彦
おだいら矯正歯科
院長 小平 安彦 Odaira Yasuhiko
 

患者さんそれぞれに治療をカスタマイズする

おだいら矯正歯科の総合受付
 
私が矯正治療を始めてからの約25年間に6000人以上の患者さんを診てきましたが、同じ治療で同じ結果に終わるという患者さんはだれ1人としていませんでした。患者さんによって治療内容も治療経過も違います。まず歯並びが個人個人で千差万別ですし、歯の動き方も同じではありません。抜歯部位についても通常は4番の歯ですが、5番の歯の神経を抜いていたり、保存困難な場合は5番抜歯を選択する場合があり、それぞれのお口の中の状況によって違ってきます。あとは患者さんの通院のペースで、たとえば土日だけしか来られない場合とか、1回キャンセルがあるとそれだけ治療期間が延びます。

ですから、たとえ同じ治療をしたとしてもその反応に個人差がでてくるので治療計画もその都度、修正していかなければなりません。1か月経って思ったところまで歯が動き切っていない、あるいは予想外の動き方をしているという場合はその日、予定していた治療内容を変更せざるを得なくなります。その見極めができるかどうか、しかもその見極めは早いほどいいです。そのまま進んでしまってリカバリーが難しくなってしまうということが往々にしてあるからです。

生身の身体なので予想通りに動くとは限らないので治療計画通りに歯が動いていなければ、軌道修正しながらゴールまで持っていくということがつねに求められており、そのためには毎月の診査は欠かせないといえます。
ですから、私の場合も患者さん1人ひとりに対応してどれだけカスタマイズしていってベストな治療ができるかということを日々考えながら治療にあたっています。

マウスピース矯正こそ経過観察が必要

おだいら矯正歯科大人の診療室
 
最近はマウスピース矯正でも途中経過を診ながら修正できるようになってきています。ただ、そうなるとワイヤー矯正同様にドクターの判断が重要になってくるといえます。現状では一般歯科のドクターがマウスピース矯正を始めるケースも多く、矯正治療の知識や経験がないためにリカバリーできずに治療がうまくいかない原因の一つともなっているようです。逆に経験豊富なドクターが経過を観察して必要であれば軌道修正しながら治療を進めていくことで、症例にもよりますがマウスピース矯正を成功に導くこともできるといえます。

患者さんのモチベーションを上げる方法

矯正歯科のカウンセリング
 
患者さんに治療経過を確認してもらうために当院では毎回必ず口腔内を写真撮影してモニターに映しながら説明しています。実際に歯が移動していることをお見せすることで患者さんのモチベーションも上がり、治療の終了時期についても「来年の春くらいですよ」とか、あと半年、あと3か月くらいとお伝えすることで患者さんに目標ができて頑張ろうという気持ちになってくれます。また、治療が遅れているといった場合は気づいた時点で早めに話すようにしています。その方が患者さんの了解が得られやすく、あとあと問題になりません。

大人と子どもの治療の違い

患者さんそれぞれにカスタマイズした治療という意味では成人と子どもの治療の違いがその最たるものといえるかもしれません。同じ矯正治療といっても治療計画や治療方針の立て方、治療方法など多くの点で異なります。
おだいら矯正歯科子どもの矯正受付
 
成長の速いお子さんは小学生くらいで永久歯に生え替わりますが、高校生まで骨の成長が残っているお子さんもいるのですべて永久歯に生え替わってかつ成長が止まっていることが成人矯正を始める条件になります。それまでは成長をコントロールしながら進める子どもの矯正になります。

たとえば、まだ骨がやわらかい子どもの場合は、あごを広げれば抜歯しなくてもよい場合がありますが、大人は広げられる量が限られるので抜歯になることが多くなるなどです。とくに下顎前突、いわゆる受け口のお子さんの場合は1回治療しても12歳の頃に下顎が再度成長する時期があるので、そうしたあごの成長を加味した治療しなければなりません。

社会的環境の違いといったことでは大人の方だと人に知られたくないということで裏側矯正(舌側矯正)を希望する方が多いのですが、中高生の場合は外側に装置につけることに抵抗感がないので、そのへんの意識の違いも考慮するということでしょうか。

以前から成人と子どもという全く違った治療を同じ環境下で進めていくことに疑問に思っていました。医科の世界では内科と小児科があり、歯科でも一般歯科と小児歯科と分かれているように、矯正歯科こそ分けて治療すべきだと思っています。成人矯正専門のおだいら矯正歯科 For Adultを別棟で建てて子どもの矯正と建物を分けたのはそうした理由からです。
おだいら矯正歯科の看板
 
診療空間自体、子どもと大人では正反対といってよく、子どもは周囲が見えないと不安なので、回りが見渡せて人の気配も感じられるよう開放感を重視しています。一方、大人の方はプライベートを重視し完全個室にしてなるべく人と会わないような空間づくりをしています。
子どもと成人では装置等もろもろ違ってくるので、準備から治療中も含めて完全に分けたことで効率もよくなり、治療しやすさを実感しています。
おだいら矯正歯科の子ども用診療室
 

自分の子どもであっても特別扱いはしない

おだいら矯正歯科外観
 
今、高1の娘と中2の息子が当院で矯正治療を受けていますが、特別扱いはまったくしていません。予約を取ることから待合室で待って診てもらうことまですべてほかの患者さんと同じです。小さい頃からずっとこの方式で、家内が迎えに来たりしてますし、キャンセルすると次の予約が2か月先になるのでたいへんになることも経験しています。

息子や娘は院長先生が担当するはずと思っていらっしゃる方も多いかもしれませんが、当院は担当制ではないので、現在在籍する4人のドクターのうち、その日どの先生に診てもらうかは一般の患者さん同様、決まっていないわけです。自分の子どもたちも4人のドクターを信頼して任せているので、皆さんもどうぞ安心して治療を受けてくださいというアピールにもなります。

息子や娘が実際に患者として体験することで、なにか気づくことがあるかもしれないという期待もあり、子どもたちがモニターをしてくれているようなところもあります。

10年以上続くDOCTOR’s BLOG

おだいら矯正歯科DOCTOR’s BLOG
 
もともと文章を書くことがとくに好きというわけではないのですが、10年以上続けていることでだいぶ書くことに慣れてきました。月3回くらいのペースで更新していますが、当初は新規の患者さんを想定していましたが、そのうちに通院の患者さんや知り合いの方から「見てますよ」といわれて、そのプレッシャーも感じています。

ただ、Google検索で当院のHPで一番ヒットしているページがブログの中に3本ほどあり、少しでも患者さんのためになっていればうれしいことだと思っています。たとえば歯が痛いときでも食べやすい食事ということで柔らかいレトルト食品をスタッフ皆で試食して紹介したりと内容は多岐にわたっていますが、患者さんにできるだけ有益な情報を心がけています。

デジタル化を見据えて

光学スキャナー
 
今後、めざすところはデジタル化に向けての設備面での充実です。技工室もつくったのもその一貫ですが、光学スキャナーとCTを導入し、次に3Dプリンターを完備し順次デジタル化へ移行しようと考えてます。
光学スキャナーのデータを3Dプリンターで打ち出していけば、石膏模型も必要なくなるので石膏模型の保管場所の問題もデジタル化で解消されると期待しています。現在は業者に依頼してスキャンニングしてクラウド上にあげていますが、今後は自分のところでやっていきたいと思っています。
歯科用CT
 
マウスピース矯正については希望する患者さんが増えてきたこともあり、入り口としてマウスピース矯正をかかげる必要性を感じています。ただ、ワイヤーでないと治せない場合も多く、マウスピースを希望する患者さんにいかに納得していただくかという課題もあり、検討中です。

これから矯正治療を受ける方へ

おだいら矯正歯科の小平院長
 
矯正治療専門クリニックも増えていますので、何軒か実際にクリニックに足を運んでよくよく自分に合ったところを選ぶことをお勧めしたいと思います。治療期間も長く、治療を始めたら後戻りできないからです。先生の技術もそうですが相性が合う合わないということがどうしてもあるので、先生に会ってお話をされてみて最終的に判断されるのが賢明だと思います。
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